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大砲レンズの手持ち撮影

 

このカテゴリでは、400mm以上のいわゆる大砲レンズ群の手持ち撮影について考えて行きます。

 

キヤノンの新型超望遠レンズなどは、従来モデルと比べかなりの軽量化がなされており手持ちでの撮影を考えている方も多いと思います。

 

近年の技術の進歩は目覚ましく高感度の画質に優れたカメラや、レンズ側の手振れ補正も強力になっているためレンズの軽量化を踏まえれば手持ち撮影可能な環境はかなり整ってきていると言ってよいでしょう。

 

 

 

 手持ち撮影のメリットは?
ほとんどの方は理解済みとは思いますが、手持ち撮影のメリットをまとめてみました。基本的に三脚撮影はレンズの重心近くが支点になるため、レンズを振るためには撮影者自身が動くことで上下左右の調整をするのに対し、手持ち撮影では撮影者自身が中心となりレンズの動きで上下左右を調整するために、アングル調整や振りの俊敏性に優れるということが主になります。具体例は以下のとおりです。

  • しゃがんでのローポジション・立ってのハイポジションを瞬時に切り替え
  • 真上への仰角撮影が出来る(三脚使用時も不可能ではないが、極めて難しい)
  • 瞬時に現れたり・高速移動する飛翔シーンなどへのファインダー追従能力が速い・高い
  • 狭い場所や不整地など三脚設置が難しい場所でも撮影ができる

 

いずれも写真の出来具合に大きく影響する内容なので、ブレ・体への負担を少なく出来るならば、大砲レンズでの手持ち撮影もひとつの手段として積極的に考えていくべきでしょう。

 

 

 

 重量で手持ち撮影のしやすさは判断できない
ほとんどの方は手持ち撮影可能かどうかを判断するのにレンズカタログにある 『 重量 』 を参考にすると思います。ところが、実践で幾つかのレンズを手持ちで使用すると  『 重量 』 だけでは手持ち撮影の振りやすさというのは参考にならないことがわかります。

 

それは同じ重量のレンズでも、口径が大きく長いレンズほどバランス的に体の中心より遠い部分が重たくなるために、体に掛かる負担が大きくなるからです。

 

例えば、キヤノンの 『 EF800mm F5.6L IS (4500グラム)』 と 『  EF400mm F2.8L IS (5370グラム)』 を比較すると、普通に考えれば 『 EF800mm F5.6L IS (4500グラム)』 の方が軽量で手持ちしやすいと思うかもしれませんが、実際に同じカメラボディを装着して手持ちで構えると 『 EF800mm F5.6L IS (4500グラム)』 の方が重たく感じます。これは、最も重量の重いフロントのレンズが体の中心からより遠くに配置されてしまうからです。

 

 

 

 手持ち撮影のしやすさをレンズごとに数値化
レンズごとに多少の違いはあるものの、基本はフロントレンズが最大径でありマウント部の大きさもほぼ同じです。それならばレンズごとの 『 重量(g)x最大径(m)x全長(m) 』を比較すれば、レンズを振りやすい体感度を数値化できそうな気がしたので算出してみました。

 

EF800mm F5.6L IS 4500g × 0.461m × 0.163m = 338.1
EF400mm F2.8L IS 5370g × 0.349m × 0.163m = 305.5

 

EF800mm F5.6L IS の方が僅かに数値が大きく、自分が体感した少し手持ちしにくいというのが表せているように思います。厳密に計測する方法はもちろんあるのでしょうが、これなら簡単に算出できるのでおおよその目安としては使えると思います。

 

そんなわけで、キヤノン・ニコンの大砲レンズ+テレコン装着状態をこの算出方法で手持ち指数を出してみることにしました。

 

EF800mm F5.6L IS 4500 × 0.461 × 0.163 = 338.1
EF600mm F4L IS U 3920 × 0.448 × 0.168 = 295.0
EF600mm F4L IS 5360 × 0.456 × 0.168 = 410.6
EF500mm F4L IS U 3190 × 0.383 × 0.146 = 178.4
EF500mm F4L IS 3870 × 0.387 × 0.146 = 218.7
EF400mm F2.8L IS U 3850 × 0.343 × 0.163 = 215.2
EF400mm F2.8L IS 5370 × 0.349 × 0.163 = 305.5
EF400mm F4 DO IS 1940 × 0.233 × 0.128 = 57.8
EF400mm F5.6L 1250 × 0.257 × 0.090 = 28.9

 

こうして並べてみると、ますます自分の体感した手持ちしやすさの度合に近いことがわかりました。同じ算出方法でニコンとテレコン装着状態も含めた大砲レンズの手持ち指数が以下のとおりです。
※左から:レンズ名・テレコン無し・1.4テレコン・1.7テレコン(Nikonのみ)・2.0テレコン(開放F8を超えるレンズは非記載)の手持ち指数です

 

 

 大砲レンズ・手持ち指数
EF800mm F5.6L IS   : 338.1 − 376.0 − なし
EF600mm F4.0L IS U : 295.0 − 330.9 − 357.1
EF600mm F4.0L IS   : 410.6 − 453.4 − 485.8
EF500mm F4.0L IS U : 178.4 − 204.5 − 223.6
EF500mm F4.0L IS   : 218.7 − 247.6 − 269.3
EF400mm F2.8L IS U : 215.2 − 245.9 − 269.3
EF400mm F2.8L IS   : 305.5 − 343.1 − 372.9
EF400mm F4.0DOIS   : 57.8 − 72.0 − 82.7
EF400mm F5.6L    : 28.9 − 37.7 − なし

 

 

AF-S 800mm F5.6E FL ED VR : 338.6 − 372.1 − 381.4 − なし
AF-S 800mm F5.6E FL ED VR + TC800-1.25E ED : 360.6
AF-S 600mm F4.0G ED VR : 373.8 − 409.9 − 420.0 − 441.1
AF-S 500mm F4.0G ED VR : 211.6 − 236.5 − 243.4 − 257.8
AF-S 400mm F2.8G ED VR : 271.2 − 301.8 − 310.3 − 328.4
AF-S ED 600mm F4.0D U : 339.4 − 373.9 − 383.5 − 403.5
AF-S ED 500mm F4.0D U : 188.5 − 211.9 − 218.4 − 231.8
AF-S ED 400mm F2.8D U : 248.9 − 278.3 − 286.5 − 303.9

 

 

筆者は腕力に全く自信のない40代♂ですが、感覚としては・・・

 

400以上 : 無理
350〜400 : 数秒なら・・・
300〜350 : 10秒以上はかなり厳しい
250〜300 : 30秒くらいなら我慢できる
200〜250 : この位の数値ならそこそこ実用的
200以下 : 俊敏な動きにもかなり対応できる
100以下 : 楽勝

 

 

ヨンヨンDOは、重量が軽いだけでなく400mmとしては全長が短い事が想像以上に手持ち撮影しやすいのに影響しています。描写にやや不安があるものの瞬間的な飛びモノなどはこのレンズで無いと撮れないシーンが間違いなくありそうです。全体的なバランスとしてはゴーヨンがやはり扱いやすいという結論になりました。少しでも、レンズ選びの参考になれば幸いです

 

 

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