あなたの野鳥撮影におけるレンズ選びをサポート致します

ズームレンズ

 

 

最大径が100mmを超えるレンズで、ズームレンズは『 EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4× 』や『 AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II 』を除いてはほとんど市場に存在しません。2kg程度の比較的軽量なラインナップでは各メーカーから幾つかのモデルが発売されています。

 

 

野鳥撮影ではズームレンズとはどのような位置付けになり、どのように利用すればよいでしょうか?

 

 

野鳥撮影においてある程度の画質を重視すると、どうしても単焦点大口径の望遠レンズをセレクトせざるを得ない状況になります。ズームレンズは構造上単焦点より画質が劣る上に、野鳥撮影ではテレ側しか使用しないパターンがほとんどという状況になります。

 

条件的には厳しいズームレンズですが、ズームレンズには単焦点にはないよさもありますので、詳しく見ていきましょう。

 

 

 

機動性に優れる
人気のタムロン150-600mmなど望遠時に筒胴が伸びるタイプに限りますが、これらは500mm〜600mmのクラスでも収納時の長さは250mm程度と非常にコンパクトに収まります。機動性の良さは、移動時だけでなく自動車・ブラインドの中からの撮影や生い茂る草間からサッとレンズを出すことも出来ますので、こういうレンズでなければ撮れないシーンもあります。

 

大口径単焦点レンズより画質は劣りますが、機動性のよさを生かして野鳥に接近することができれば十二分に作品レベルの写真を撮ることも可能です。

 

 

 

画角の変化を利用する
ブラインドの中からの撮影など、一度構えると移動が難しい状況のときにズームレンズのセレクトが好ましい状況があります。ブラインドで近接すれば長焦点距離を必要としない撮り方も期待できますし、ズームによって1度のチャンスで2種類以上のイメージを得ることも可能です。

 

単焦点レンズではテレコンの付け替えの対応では間に合わない場合もありますし、レンズ交換の音や動きで野鳥に警戒されて逃げられてしまう可能性もあります。

 

 

※この画像サンプルは、画像クリックでフルデータを見ることができます。
タムロン 150-600mm 600mm側
5メートル近辺まで寄ることができたジョウビタキ。タムロン150-600mmの600mm側でまずは撮影。

 

 

※この画像サンプルは、画像クリックでフルデータを見ることができます。
タムロン 150-600mm 150mm側
上記のジョウビタキは何度もこの立て札の上にやってくるので、背景を考えて近くのポジションでしゃがんだ状態で待ちました。案の定、立て札にやってきたところをズームで150mmの最もワイド側に調整。背景に生息環境を表すようなイメージを入れてみました。一度のチャンスで2つのイメージを得る事は単焦点の超望遠レンズではできない表現で、ズームレンズならではと言えるでしょう。

 

 

 

 

大口径のズームレンズは野鳥撮影でどうか?

 

『 EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4× 』や『 AF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR II 』など、近年は極めて高画質なズームレンズも登場しています。これらは野鳥撮影で使うにはどうでしょうか?

 

筆者はこれらのレンズを使うメリットは『ズーミングによる画角の変化をいかに有効に使うか』という事に絞られると思っています。テレ側でも焦点距離が足りない状況が多い野鳥撮影では余り有効ではありませんが、より近接できる状況にあるのであればズーミングのメリットが出てくる上に、その上で最高画質のイメージが得られるのがこの大口径ズームレンズを使う意味となるでしょう。

 

もうひとつだけメリットを上げるとすれば、単焦点レンズより最短撮影距離が短い事です。最短が2.0mまで寄れますので、不意に手前に現れるような状況が想定される撮影では有用で2.0mの距離にいる野鳥を『 400mm 』や『 400mm+テレコン 』で撮影できます。ゴーヨンでも最短は約4.0m、ヨンニッパでも約3.0mですから余りにも近くに野鳥が出現する可能性がある状況では極めて有用でしょう。

 

 

大口径のズームレンズのデメリットは、ワイド側でもF値が『 F4 』に固定されてしまい表現の幅が狭くなることです。『 400mmF4 』のスペックであれば口径が10.0cmですから『 200mm 』なら『 F2 』のスペックにして欲しいところです。『 200mmF4 』のスペックでは、大きく重たいレンズを持ち運ぶ苦労に見合う表現が得られません。そこまでワイドなイメージを撮りたいなら『 70-200mm F4 』クラスのレンズを別に用意して更にワイドなイメージを狙うか、『 200mm F2 』の尖ったスペックのレンズを用いて印象深い写真を狙うほうが良いと考えます。

 

デメリットをもう一点だけあげると、ズームレンズによるレンズ枚数の多い光学構成から単焦点のレンズよりも非常に重量がかさむことです。特に『 EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4× 』はゴーヨンより重たいので、瞬時的なズームにメリットがなければ、ゴーヨン+『 70-200mm F4 』を持ち歩いたほうがイメージの幅がより広がるでしょう。

 

 

 

 

 

偵察用レンズについて

 

野鳥撮影は作品づくりばかりが目的ではありません。見つけた野鳥の種類を同定したいという方や、記録目的の方も多いと思いますのでそういう意味合いでのおすすめ偵察用レンズを紹介しておきます。口径の大きいレンズは重量以上にかさ張るのが問題で、動き回るという行動に大きく影響がでてしまいます。偵察用のレンズはコンパクトにできる望遠ズームが理想的と思います。また、野鳥を見つけた場所のフィールド状況(天候など)を記録しておくという意味でも広角でも撮れるレンズが良いです。更に手ぶれ補正もあるほうが・・・その条件が揃うレンズが1本だけあります。SIGMA APO 50-500mm DG OS HSM です。

 

 

参考までに SIGMA 50-500mm F4-6.3 EX DG HSM の中心解像力のチャートを掲載します
SIGMA 50-500 F4-6.3 EX DG HSMの解像力サンプル

 

500mm領域では1〜2段程度は絞って撮影するのが良さそうです。暗いレンズですので、ISO感度は必要に応じて上げてブレないように心がけましょう。手振れ補正がついていても500mm域になると過信は禁物です。シャッタースピードはできるだけ1/100以上になるように設定したほうが、種類の同定に役立つ写真が撮れると思います。

 

また、最近のデジタル一眼レフカメラには、ほとんどのモデルに動画撮影機能が付いているので、フィールドの記録には動画も活用しましょう。広角側の50mmにしてフィールド全体を見渡すような感じで記録しておくのも有用です。その場で気づいたこと (風向きや気温など録画では伝わりにくいこと) を口頭でコメントしておくと、より有用な記録になるでしょう。

 

 

 

 コンデジでお手軽に記録する

 

一眼レフの機材は軽量の機材をセレクトしても非常に重たいので、軽快に動き回るという点では50倍ズームクラスのコンデジを利用するのも一考です。近年この分野のカメラでも35mm換算で1200mm相当の望遠を実現しているモデルが登場しています。広角からマクロ撮影まで可能な万能カメラですので、一眼より画質は劣る(特に暗所では顕著)ものの記録目的であれば積極的に選ぶ価値は十分にあるでしょう。

 

ニコンやパナソニック、富士フィルムからも40〜60倍ズームの35mm換算1000mm超えのコンデジが発売されていますが、キヤノンの『 PowerShot SX50HS 』が野鳥撮影には一番オススメのモデルです。コンデジはセンサーが小さいので、画素数が増えると細部が潰れる現象が起きるので画素数は控えめのモデルの方が逆に解像力が高くなります。特にこの点はカタログスペックだけで判断しないようにしましょう。また、AFも他メーカーより比較的スムースな動作ですしRAWで撮影できるのも魅力です(現像はDPPで処理可能)。バリアングル液晶も採用でローポジション撮影もこなせるため、野鳥撮影用のコンデジとしては間違いなく最強モデルです。

 

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